耳鳴りの研究はこうして発展してきた
2022/02/08


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耳鳴りの研究はこうして発展してきた!
こんにちは。ひご自然食品の久保です。耳鳴りは専門家の中では、様々な研究がされてきました。従来は、主に内耳などの感覚器官の問題として捉えられてきました。
しかし、1990年代アメリカの神経生物理学者ジャストレボフ教授が脳で起こる耳鳴りのモデルを初めて提唱しました。
1990年代以降はMRI( 核磁気共鳴画像法)をはじめとして、脳の機能を調べる画像検査(fMRI=磁気共鳴機能画像法)が目覚ましく進化・発展しました。これによって、脳の研究が大幅に進展し、耳鳴りが発生するメカニズムの解明も進んできました。
耳鳴りの新らたな治療法TRTとは?
耳鳴りが起きる原因が脳であり、その仕組みが分かってきたことで、新たな治療法が出てきました。それは、TRT(Tinnitus Retraining Therapy)という治療法です。
この治療法は音を使う治療で注目されており、TRTの直訳は「耳鳴りの再訓練療法」です。ざっくりと言うと、「脳を耳鳴りの音に順応させようとする訓練法」になります。
耳鳴りがずっと続くと、苦痛を感じ、さらに苦痛を感じれば感じるほど耳鳴りが治りにくくなってしまいます。
TRT治療法の音響療法とは?
TRTには二つの柱があります。一つ目は、耳鳴りのメカニズムを説明して、指示的カウンセリングをする治療法です。もう一つは、音を使った治療法、すなわち音響療法です。音響療法の基本は、自然の音やノイズなどを聞き続けることで、耳鳴りを相対的に小さく感じさせることで、意識を耳鳴りから遠ざけるものです。
音響療法を家庭で行う場合は、ラジオや自然音を収録したCDなどを使って、音のある環境を作ることが簡単な方法になります。ですが、職場や公共機関ではこのような環境を作ることは難しいです。そこで、どんな場所でも耳に取り付けるだけで適切なノイズが流せる器具が開発されました。それが「サウンドジェネレーター」という補聴器の形をした医療器具になります。
サウンドジェネレーターはラジオの「ザー」というノイズや滝の音などを耳元で流し続ける器具です。サウンドジェネレーターの音量は、若干耳鳴りが聞こえる程度に流して、音を常時聞き続けることで、耳鳴りを相対的に小さく感じられるようにしていくのです。
脳を耳鳴りに鳴らしていく治療法であるため、耳鳴りが気にならなくなるまでには、1~2年もの時間を要します。サウンドジャネレーターを使用した音響療法は、そもそも耳鳴りを改善するものではなく、あくまでも耳鳴りから注意をそらして、日常で耳鳴りを感じにくくする方法になります。そのため、サウンドジャネレーターの効果には限界があるそうです。